当たり前になってはいけないこと
葬祭部の山下です。
先日、故人様を病院にお迎えに行き、寝台車でご自宅へお送りした際に、そのご自宅で高校の同級生と再会しました。その同級生の子は故人様(おばあちゃん)のお孫様で、少しだけ挨拶を済ませてまずは故人様を仏間のお布団へと、ご移動させて頂きました。
ご安置したのち、その同級生のお孫さんと少しお話したのですが、
「すごい仕事やな~、人が亡くなったときに色々と大変やと思うけど、お世話になります」という言葉をもらいました。
私は、その日の仕事の帰り道、その言葉に色々と考えさせられました。
私たち葬儀のスタッフは人がお亡くなりになった場面に立ち合い、そこから打合せして葬儀をお手伝いさせていただくことが仕事なので、どうしても「人が亡くなる」ということを業務として日常的にとらえてしまいがちです。
しかし、その同級生のお孫さんにとっては、大切な家族の一人である、おばあちゃんが亡くなられたというものすごく非日常で、なおかつ深い悲しみの中にあるのです。
ご遺族それぞれに悲しみがある中で、葬儀に携わるスタッフとして、その状況を当たり前のように扱ってはいけないと再確認させてもらったような気持ちでした。
先日、読んだ本の感想をこちらのブログでも書きましたが、『ぼくが葬儀屋さんになった理由(わけ)』という本の中で「仕事には慣れよ、悲しみには慣れるな!」というフレーズが大変印象に残りました。今回のことで、私はまたこの言葉を思い出しました。
葬儀のスタッフとして、仕事としては、当家の方から安心して任せてもらえるような存在であるために、経験値を積んでスムーズに事を進めていける人でいなければなりません。
しかし、その場面に携わる一人の人間としては、いくら経験を積んでも、どんなに仕事に慣れたとしても、悲しみを当たり前のように扱ってはいけない、そして、ご遺族の方のお気持ちに寄り添える人でいなければならないと思います。
今回、同級生のお孫さんの言葉から大切なことを改めて学ばせてもらったことに感謝いたします。