旅立ちの日のお弁当
葬祭部の義積です。
先日、お母様のご葬儀を担当させていただいた時のことです。納棺の際、娘様が一枚の素敵なスカーフを持ってこられました。
「これ、お母さんに買ってきた。」
そう言いながら、お母様の首元に優しく巻いてあげられました。その姿からは、お母様への感謝や愛情が自然と伝わってきます。
また、私たちがお勧めしている「おくり弁当」もご用意くださいました。おくり弁当とは、故人様に最後に持っていっていただくためのお弁当です。
お花入れの際、娘様はお棺に納めたお弁当をそっと触りながら、
「ここに入れたから持っていきなよ。」
と、お母様に優しく話しかけておられました。その言葉はとても自然で、まるで少し遠くへ出掛けるお母様を見送るような響きです。その時にはすでに包みは閉じられており、私はお弁当の中身を見ることはできませんでした。何が入っていたのか、どんなお料理だったのかは分かりません。けれど、きっとそこにはお母様の好きだったものや、「食べてほしい」という娘様の気持ちが詰まっていたはずです。
豪華な料理だったかどうかは関係ありません。そこに込められた愛情こそが、一番のご馳走だったのではないでしょうか。
葬儀の仕事をしていると、ご家族それぞれの送り方に出会います。
花を手向ける方。
手紙を書く方。
思い出の品を納める方。
そして今回のように、お弁当を持たせてあげる方。
形は違っても、その根底にあるのは「ありがとう」と「気をつけて行ってらっしゃい」という気持ちです。
「おくり弁当」。
その包みの中には、娘様からお母様への愛情がたくさん詰まっていたことだけは、確かに感じることができました。

