郷ひろみさんの手紙
葬祭部の義積です。
もみじの谷川ホールの駐車場、植木の近くには「すずめ」がたくさんいます。寒い時期になると、まんまるにふくらんだ“ふくら雀”を見ることができます。冬の寒さをしのぐために体を膨らませた雀たちなのですが、その姿が本当に可愛らしいのです。
まんまるの子たちが並んでいると、可愛さも倍増します。寒いのは苦手ですが、この光景を見るのは、冬ならではの小さな楽しみのひとつです。
さて今日は、歌手・郷ひろみさんが、ご自身の葬儀のお母様を亡くされ、お母様に宛てた「手紙」をご紹介します。手紙に記されているお名前は本名です。
拝啓 原武輝代様
あなたのしつけは本当に厳しかった。
僕が郷ひろみになる前から、ずっとずっと。
「簡単に弱音を吐いたら、お母さんは怒るよ!」
あなたの笑顔が見たいから、僕は頑張ることを覚えました。
「自分に足らないものがあるなら、黙って学びなさい」
あなたを悲しませたくないという想いが、僕に向上心を芽生えさせました。
「人をねたまないこと。すべての結果は自分の中にあるから」
僕は人と比較しない。
自分を強く持たなければ人を幸せにできないと教えてくれたのは、あなただから。
「ファンのみなさんがいなければ、あなたは何者でもないんだよ」
「そんなことわかってるよ」
「だったら、今よりもっともっとファンを大切にするという気持ちを、毎日積み重ねていきなさい。
あなたの歌を心待ちにしている人たちのことを想いながら。
それが郷ひろみという人間よ」
いくつもの教えは、人として“当たり前”のことばかり。
あなたは、その“当たり前”の大切さを、大人になった僕に、時に言葉で、時に手紙で伝え続けてくれました。
あなたは先生でした。
あなたは誰よりも僕のファンでいてくれました。
そして、僕のたったひとりのおふくろでした。
永い眠りについたあなたの姿は、美しく、やさしかった。
お母さん、どうか天国で安らかに過ごしてください。
僕はもうしばらく、あなたと歩んできた道の先へと歩き続けます。
最後の行には、僕の、いちばん大切な言葉をつづります。
あなたがいたから僕がいた
心の支えをありがとう
あなたの息子 原武裕美より
この手紙を読んでいると、苦労を重ねながらも、お母様が一生懸命に応援し、励まし続けてこられたことが伝わってきます。
浮き沈みの激しい芸能界で、長く第一線を歩き続けることは、決して簡単なことではありません。
きっとその歩みのそばには、いつもお母様の言葉と想いがあったのだと思います。
私にも一人娘がおります。生まれた時から、子どもの健やかな成長と幸せを願い続けてきました。
だからこそ、お母様のお気持ちが本当によく分かります。
そのお母様を亡くされた郷ひろみさんにとって、この親子のお別れがどれほど深い悲しみであったか、計り知れません。
別れは、いつか誰にでも訪れるものではありますが、
この手紙を通して、悲しみの中にも、親子のあたたかな絆が静かに息づいていることを感じました。

