父が教えてくれたこと
葬祭部の広田です。
この仕事に就いて、今年で10年目になります。
これまで多くの故人様をお見送りしてきましたが、それと同時に、残されたご家族の方々と向き合う時間も数多く重ねてきました。
私自身、20歳の時に父を亡くし、24歳の時には大好きだった祖母を亡くしています。
だからこそ、葬儀後にご家族が抱えるお気持ちは、痛いほど分かるつもりです。
とにかく悲しくて、心が締め付けられるような寂しさに襲われることがあります。
きっと、同じような気持ちを経験された方は多いのではないでしょうか。
中には、その想いを素直に私に打ち明けてくださる方もいます。
「心に穴が開いたようで寂しい」「もっと何かしてあげられたんじゃないか」
そんな後悔の念を抱えている方も少なくありません。
正直に言えば、私にその気持ちをどうこうすることはできません。
その想いをどう受け止め、どう向き合うかは、ご本人にしか決められないものですし、無責任に「大丈夫です」などと言えるはずもありません。
ただ、自分の経験をお伝えすることはできます。
「私も同じでした。
家に帰れば、まだ父がいるんじゃないかと思ったり、
こんなに楽しい場所に父がいないのに、自分たちだけ楽しんでいいのかと感じたり、
もっと生きているうちにできることがあったんじゃないかと、何度も考えました。
でも、時間が経つにつれて、少しずつ考え方が変わっていきました。
こんなに楽しい時間があるのは、父がいてくれたからだな。
ちゃんと仕事ができているのは、父が教えてくれたことが今も残っているからだな。
この人と出会えたのも、父がいたからだな。
そんなふうに、感謝の気持ちが前に出てくるようになったんです。
父にできなかった分は、母に返そう。
きっと父も『それでいいよ』と言ってくれるだろう。
そう思えるようになりました。
ただ、ここまでの気持ちになるのに、私自身は5年かかりました。
時間は人それぞれです。
故人様を想って悲しむ時間は、きっと必要なものです。
でも、いつかその気持ちは、前向きな想いへと変わる時が来ると思います。
だから、無理に前を向こうとしなくていいんです。」
このようなお話を、自分の経験としてお伝えすることがあります。
そして私は、いつも心の中でこう思っています。
「父は本当にたくさんのことを教えてくれたけれど、
これから生きていく上で一番大切なことを、自分の死をもって教えてくれたんだな。
50年生きてくれたことにも意味があったし、
50歳という若さで亡くなったことにも意味があったんだな。
こうして葬儀の仕事に就き、たくさんのお客様と出会い、
お話をし、頼っていただける。
お父さん、ありがとう。」
こんな私だからこそ、お客様にお伝えできることがある。
私は、そう信じています。

