もみじブログ

お葬式以外のお話

小説『アフターブルー』

葬祭部の杉上です。

 

納棺を題材にした小説『アフターブルー』読みました。
第19回小説現代長編新人賞受賞作で、葬祭業を営む小さな会社が舞台に、自然死や病死だけでなく、事故や事件、自死で亡くなった損傷の激しいご遺体の身体や顔を復元処置や特殊メイクを行う「納棺部二課」所属の5人の姿を描いたお話です。

 

5つの章に分かれていて、最初の章の中で書かれていた…
『復元処置をしなかったご遺体は、ご遺族が顔を見ないままお別れすることが多い。
状況によっては、ご遺体の顔を包帯でぐるぐる巻きにして隠したり、棺をテープで固定して開けられないようにしたりすることだってある。
生きている人のために、大切な人を見てはいけないものとして扱う。
それが最善で、当然のことだとみんな思っている。
でもね、最期の姿を見なかったことで、残された人の心に大きな蟠(わだかま)りを作ることが有るんだよ。
だから、ちゃんと顔を見てお別れができるようにしたい。
それが、残された人たちにとって、少しでも前を向くきっかけになるように。
残された人が、大切な人を失った自分たちが、これから先も生きていけるようにと。』
この文書を読んでいる時は涙があふれて、読み続けることが難しいくらい泣いてしまいました。

 

私がプロの納棺師にあこがれて、私も納棺できるようになりたいと思って少しずつ技術を身に付けて1人で納棺ができるようになった頃、ご家族様から「あぁ、いつもの顔や寝とってや顔や」と言ってもらった言葉は、いまだに忘れられません。その言葉があったから今も納棺のお手伝いを行えています。

 

涙があふれた文章は、そんな私の思いを表しているように感じました。最初の章で泣いてしまったので、この先どうなるんだろうと思いながら読みましたが、後半でも涙があふれるところが有りました。最後まで読んで、ぜひ続編を読んでみたいと思える小説でした。ちなみに作者の朝宮夕さんは、元納棺師さんで現在は葬祭関連の会社で事務をされているそうです。

 

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