最後の記念写真
葬祭部の義積です。10月に入り彼岸花が目に入ります。私はあの繊細な花びらの形が大好きです。いつもこの季節を楽しみにしています。
今回は、ご主人を亡くされたご夫婦のお話です。葬儀の打合せの中で遺影写真の話になりました。奥様は「主人はカメラが趣味であちこちいろんなものを撮っていましたが、なかなか自分を撮ることことはないので、ほとんどありません。」とお聞きしました。また「二人での写真もないかもしれません。」とおっしゃいました。今どきの若い子たちならスマートフォンで自撮りに抵抗はなさそうですが、私はすごく抵抗があるので、私と年齢が近い奥様でしたので同じような感覚だったのかもしれません。
葬儀日の朝に式場に入ると、奥さまがスマートフォンで祭壇を撮影されていました。私はふと打合せの時に聞いた(二人の写真はないかも)という言葉が浮かびました。そこで「ご主人とお二人で記念写真をお撮りしましょうか?」と確認しました。すると「お願いします。」という返事をいただき、さっそく祭壇の前でご主人の遺影と奥様をお撮りしました。
すぐにデータをパソコンに写し、プリントアウトをしました。お二人で写した写真はお花入れの時に、奥様の手でお入れになられました。いつも奥様の写真を免許証と一緒にお持ちになられていたそうで、仲の良いご夫婦だったのでしょう。最愛の奥様と写した写真をお持ちになり、ご主人は旅立たれました。