【前編】故人様の想いを少しでも分かりたい

葬祭部の山下です。

休日に、前からずっと行きたかった、とあるワークショップに参加してきました。

その講座の名前は「死の体験旅行®」です。

このタイトルだけ聞くと、非常にショッキングな名前に聞こえます。確かに講座では「死」について考えることがテーマで自らが命を終えていく過程を疑似体験します。しかし、怖いというイメージではなく、自らの死生観を見つめ直し、自分がいま生きている当たり前の日常、周りの人に感謝する温かい気持ちを持てる貴重な体験ができるものとなっています。

このワークショップはもともと、海外のホスピス(終末医療施設)で始まったと言われている体験型講座です。病気や怪我が治ったら退院できる一般的な医療施設とは異なり、ホスピスは終末期の患者様の肉体的な痛みの緩和や精神的な不安の緩和、またそのご家族のケアなど、患者様がその人らしく人生を全うし、最期を迎えるにあたってのサポートを行うことが目的の施設です。そのホスピスのスタッフ向けに、死を間近にした患者様やご家族のお気持ちを少しでも理解し、寄り添えるよう考えられた研修プログラムとのことです。

この海外の医療者向けの研修プログラムを一般の方も受講できるよう、神奈川県横浜市にある「倶生山 慈陽院 なごみ庵」の浦上ご住職が自らが進行役として準備を進められ、2013年1月よりお寺で開催されるようになりました。

そこから話題になり、本講座の講師資格の認定を受けられた各お寺のご住職がそれぞれ開催されるようになり、お寺で開催される形でこのワークショップが全国的に広まったようです。

 

私は、この葬儀のお仕事を始めてから仏教のことを勉強したいと思い、仏教系のYouTubeチャンネルを見ることがしばしばあったのですが、その中でこのワークショップが紹介されており、興味を持ち受講したいと思いました。普段、私も葬儀の担当をさせていただく中でご遺族の話を聞くことはできますが、故人様とは話したくても話すことができません。

ご本人から葬儀の事前相談を受けていた場合は生前にご本人とお話できますが、私たち葬儀屋が初めて出会うのは、既に亡くなられたご本人であることが多いです。その方が何を大切にされ、どのような信念を持ち、どんなお気持ちで人生の最期を迎えられたのか想像することしかできません。そのような状況の中で、私は自らが死の疑似体験をしてみることで少しでも故人様の気持ちに想いを馳せ、お気持ちに近づきたいと思い、この講座を受講することにしました。近くで開催されているお寺を探してみると、大阪のお寺で開催されていることが分かりました。人気の講座なので、事前に申込をして予約したうえで参加します。

前置きが長くなりましたが、このワークショップでの感想については次回のブログで【後編】という形で書きたいと思います。読んでいただけましたら幸いです。