通夜・葬儀の焼香の場合、左手に数珠をかけ、右手で焼香をします。抹香を親指・人差し指・中指の3本でつまみ、額のあたりに軽く揚げてから静かに香炉へ落とします。ただし、浄土真宗の場合は、額のあたりに軽く揚げることはしません。焼香の回数は宗派によって異なっています。
香炉から立ち上げる煙は故人が仏国土へ向かうことを表現しており、食事の代替ともいわれています。本来、焼香は仏への帰依を表す儀式のために行われ、のちに通夜・葬儀に取り入れられるようになりました。儀式で行う場合は、焼香3回には、三宝への供養という意味があります。つまり、仏(お釈迦様、宗祖)・法(教え)・僧(修行者)への帰依です。
また、天台宗においては、香は「三毒を除く」とされています。三毒とは貪(どん)むさぼり・瞋(じん)いかり・癡(ち)おろか のことです。
真言宗の密教修行においては、香は身(しん)・口(く)・意(い)の三密修行の精進を意味しています。日蓮宗の焼香3回には、「天魔(魔性)を除く」 「日蓮の教えの普及」 「諸天善神の守護」 という意味があります。
このように、焼香にもそれぞれの宗派の宗旨が表現されているのです。