よみがえった思い出

葬祭部の義積です。

当家と葬儀式の打合せをしていると、ご当家から写真を何枚か預かりました。その中に、亡くなったご主人と奥様の若かりし頃のお姿を映したものがありました。すごく素敵だったのでその写真をコピーしてお花入れの時に入れてもらおうと準備しました。

そして、お花入れの時間となり、ご親族や会葬者の手でお花と言葉でお別れをなさいました。お棺の中には溢れんばかりのお花がた向けられ、故人様は色とりどりの花に囲まれ穏やかな表情をされていました。そして最後に私が準備した写真を、奥様に渡しお棺の中に納めていただきました。奥様の手から写真はお棺に納められたのですが、すぐにあの写真を取り出し胸に抱かれ急に大きな声を出して泣かれました。ご高齢になられて記憶があいまいになることが多かったそうですが、この写真を見てご主人との思い出がよみがえったのでした。

その写真は、棺に納めることなく奥様は帰る時まで、ずっと大事そうに握りしめていらっしゃいました。年を重ねるごとに、思い出は増えていきます。全て覚えておくことは簡単ではないですが、一枚の写真をきっかけに、お二人の思い出にふれながらのお別れの時間となりました。