声に出して伝えることの大切さ

葬祭部の山下です。

先日、葬儀にスタッフとして入らせていただいた際に、お別れの場面で当家の方から故人様に宛てたお手紙を読まれるシーンがありました。

ご葬儀の際に手紙を書いたり、メッセージカードを書いたりされることは私たちからも提案させていただくことなのですが、なかなか声に出してその内容を読まれる方は少なく、文字に感謝の気持ちを込めてお柩に入れるというところまでの方が多いのが実情です。

また、声に出してご家族の方が読まれる際でも、お孫さんやひ孫さんなどお子様方であることが多く、なかなか大人が参列者の方の前で声に出してご自分の書かれたお手紙を読むという行為はどうしても気恥ずかしさもあってか、こちらからご提案しても、

「そこまではしなくても大丈夫です…。」とご遠慮される方がほとんどです。

しかし、今回の当家様は、実際にご自分(息子様や娘様方)の書かれたお手紙を故人様(お母様)に向け、皆さんの前で読まれました。私は、その真っ直ぐなお母様へのメッセージに思わず涙してしまいました。参列されていたご親族の皆様も涙を流されていました。

お別れの時間が終わってご出棺となり、もちろん悲しみが深い瞬間なのですが、当家の方の表情を拝見していると、このような解釈・表現が正しいか分かりませんが、どこか「きちんとお別れができた」という得心されたようなお顔に見えました。

自分の心の中にある想いを吐き出す、しっかりと自分の言葉で声に出して伝えるということがいかに大切な意味を持つかを私達スタッフも再確認させていただいた瞬間でした。

 

もちろん当家様それぞれにご事情があり、

ご参列の方に手紙の内容を知られたくないという場合や、涙で読み上げるのはとてもできないという方もいらっしゃいます。

お手紙やメッセージカードをそっとお柩に入れて差し上げるだけでもそのお気持ちは伝わると思いますし、お手紙の朗読は司会が代読させていただくこともできます。

故人様への感謝の気持ちを伝える場として、お別れの方法に決まりはありません。どうか悔いの残らないお別れになりますよう、些細なことでもご相談ください。