ご先祖様との関わり

葬祭部の山下です。

毎日、暑い日が続きますが、夏の仏事と言えば、お盆(正式には盂蘭盆会(うらぼんえ)と言います。)があります。お盆と言えば、ご先祖様の霊をお迎えして、その魂を供養し、再び浄土へとお戻りになる霊をお見送りするというものですが、私も子どもの頃から迎え火・送り火をしたり、ナスとキュウリで精霊馬をつくったりしていたことをよく覚えています。

お盆のような行事は日常の中で、ご先祖様との関わりを意識する良い機会だと思います。いまの時代、核家族化が進み、3世代以上が同じ家で暮らすことが少なくなり、例えば仏壇が家に無いとなると、なかなか「ご先祖様」を意識する機会もないと思います。

ただ私も、ご先祖様との関わりを以前から意識していたわけではなく、やはり今の葬儀の仕事に携わるようになってから思うようになったことです。私の実家には仏壇があり、祖父母と一緒に暮らしていたので、そういった慣習を行う環境にはありました。ですが、子どもの頃を振り返ると、仏壇への毎食のお供えを持っていくのを手伝ったり、自分がもらった学校の通信簿や表彰状を仏壇にお供えして報告したりということが祖父母や両親からそうやるようにと言われた当たり前のことであったがゆえに、それがご先祖様に対して何かをしているという意識はほとんどなかったと思います。また、子どもの頃は仏壇やお墓に対して「部活の試合で活躍できますように」「テストで良い点が取れますように」などと、まるで神様であるかのごとく、よくお願い事をしてしまっていました。ある時から、ご先祖様へはお願い事をするのではなく、あくまでも報告と感謝をするべきであることを知り、いまではあくまでも日ごろの感謝を伝えることを意識しています。いま振り返ると、自分はご先祖様との関わりがある環境で育ててもらったんだなということがよく分かります。

いまの時代、特に若い世代の方はそういった環境が周りにない限り、ご先祖様との関わりを意識することは少ないと思いますが、ほんの少しでもお盆のような機会をきっかけに仏事の慣習をなさってみたり、お墓参りをしたりしてご先祖様を意識して、感謝をすることで何か新しい気づきがあったり、今の当たり前の日常に感謝できるのではないかと思います。