死後硬直と拘縮(こうしゅく)

葬祭部 伊藤です。

死後硬直は、死後に起こる筋肉の硬化現象です。同じような症状で、関節を伸ばしたり、曲げたりできなくなる拘縮(こうしゅく)があります。死後硬直はマッサージにより元に戻せますが、拘縮による曲がりは戻す事ができません。同じように加齢による背骨や腰の曲がりも直すことはできません。

先日の納棺は、首から腕、手首にかけて拘縮のある故人様でした。生前のご様子をお聞きすると、死後硬直ではなく拘縮と分かりました。残念ですが、曲がりを戻す事ができないので、手を組んで数珠をお付けする事が出来ませんでした。腕が手前に曲がり、手首と指も内側に曲がっておられました。スーツに着替えて、メイクをして、ご家族様に対面して頂くと、娘様がお母様の手を見て触って「お母さんかわいいー」と涙を流されました。「ずっとこうしてたから、これがいつもの様子だから」とおっしゃいました。

いつもの納棺でしたら、手は数珠をお付けした後は 掛布団の中に入れるので見えません。しかし、娘様の「かわいいー」と言葉が素敵だったので、あえて手を布団から出して、一緒にお入れする杖も指でつまむように持って頂きました。ご当家にとっては、故人様らしさが一番嬉しいのかもしれません。