葬祭部の板垣です。
お客様を訪問した際に「法事は何回忌までした方がいいの?」と聞かれましたが、私は明確な答えが分かりませんでした。その時はお客様に「きちんとした事が分かったらお伝えします。」と言ってその場を切り抜けました。その後、直ぐに何回忌までするのがいいのかを調べました。
仏教では三十三回忌を過ぎると故人がご先祖様の仲間入りをすると言われています。このため、一般的には三十三回忌を「弔い上げ」として行い法要を終わります。弔い上げというのは故人の供養が終わる事の意味です。弔い上げには明確なルールがなく宗派や寺院で内容が違いますし同じ宗派でも地域によって異なる事があります。例えば、
真言宗は一周忌から十七回忌まで行い、二十五回忌と三十三回忌を行い三十三回忌で弔い上げになる事が多いようです。ただし、五十回忌や百回忌の法事をするところもあります。
曹洞宗は一周忌から十七回忌まで行い二十三回忌・二十七回忌を行うか、もしくは二十五回忌としてまとめて行う。三十三回忌で弔い上げになりますが地域や寺院によっては五十回忌に弔い上げをされるところもあります。
臨済宗・日蓮宗は一周忌から七回忌まで行います。二十三回忌・二十七回忌もしますが省略して二十五回忌を行う場合もあります。日蓮宗には弔い上げ概念が存在しないので法事を行っていた方が亡くなった時点で終わる場合が多いようです。
浄土真宗では法事を行わない地域もあります。山南町内では法事をされます。これはお寺様のお考えによって異なります。他の宗派では故人が極楽浄土に向かうために法事を行いますが浄土真宗の考え方では亡くなったらすぐに極楽浄土に行くとされているので年忌法要で親族が集まって故人を偲びます。浄土真宗は三十三回忌の時点で弔い上げになります。
神道は亡くなった方が家や子孫を守る神様になるという考えなので仏教の様な故人を極楽浄土へ送り出すための法事という概念はありません。その代わり霊祭と言う行事があり故人が亡くなってから50日目の五十日祭、100日目に行う百日祭があります。その後は一年祭、三年祭、五年祭、十年祭と行われ、十年祭以降は十年ごとに年式祭を行い弔い上げは三十年祭の時期に行われることが多いです。
キリスト教は死の概念が仏教と根本的に違います。死は祝福されるという考えなので供養は行いません。キリスト教でもカトリックとプロテスタントで考え方が異なります。一般的には追悼ミサや集会などを一年以内に行われる事が多いです。弔い上げという考えはキリスト教にはありません。
このように宗教、宗派によって考え方が異なるので何回忌までしたら?とお悩みの方は一度、菩提寺のお寺様にご相談された方が良いと思います。私の知り合いでお寺様と相談をして、十三回忌で弔い上げをした方もいます。因みに私に何回忌までしたらといい?とご質問下さった方にはこの事を調べた後に訪問してきちんとお伝えしています。