湯灌

納棺の際に行われる『湯灌』をご存知ですか。

浴槽を用意し、温かいお湯にて亡くなった方のお身体を洗い清める儀式です。
現世での汚れや苦しみの一切を洗い清めるといわれています。また、人が生まれた時、最初に産湯に浸かるのと同じように、生まれ変わりの為の「産湯」の意味もあるともいわれています。

また、人は生前1日の終わりにはお風呂に入り、その日の疲れを癒します。お風呂に入って1日の汚れを洗い流すことで、気持ちの良い眠りにつくことが出来ます。湯灌は、このような生前の習慣を故人にも反映し、一生の仕事を終えて最後の癒しとして入浴させてあげるという思いやりの儀式でもあります。

他には、死後の体からは体液や血が流れだすことも有りますので、これらをきれいに流し、衛生的に保つという意味も込められています。

先日、お手伝いをさせていただいた葬儀のご家族は、故人様が温泉とお風呂が大好きだったから、と湯灌を選ばれました。元々、色白のきれいな故人様でしたが、温かいお湯で清められたお顔は本当におきれいで、安らかな表情をされていました。

病院で亡くなられた場合、看護師さんがきれいにしてくださいますが、自宅での最後のお風呂も良いものですよ。

杉上